ユメクイ


居眠り常習犯のあたし。
そんなあたしを夢の中から連れ出すことができるのは、たったひとりの人だけ。
深い、深い、夢の奥から引っ張り出してくれる。
でもそのせいで、あたしの夢はいつも途中で終わってしまう。
パチンと音が鳴って、あたしはいつものように目覚める。
「おはよ」
にっこり微笑むその顔が可愛い。
「んー、おはよ」
「夢みた?」
「みたよ、でも途中で終わっちゃった」
「それは悪いことをしちゃったな」
「ほんとに」
「ごめんごめん、どんな夢だった?」
「君といる夢」
「それは僕のこと考えてる証拠だ」
「うん、いっつも考えてるよ」
「そっかー、僕は愛されてるなぁ」
「だって愛してるもんね」
「そう言われると恥ずかしいな」
「あー、眠くなってきた」
「もう?」
「うん、起こしてくれる?」
「起こしてあげる」
パチン、パチン。
指を鳴らす、その心地よい音が好き。
だから夢が途中で終わっても、全然かまわないよ。
夢の中も、夢から覚めても、あたしの隣には君がいるでしょ?