両の手を広げて


まとわりつくような暑さ。
くっきりとした影。
背中にぴったりと張り付く服。
ジリジリと照りつける太陽って、きっとこのことをいうんだ。
暑くて、頭がおかしくなりそう。
鞄も靴も靴下も全部取っ払って、走り出したい。
きっと、走ってもこの暑さは変わらないだろうけど。
横断歩道を渡れば、あとは家までまっすぐな一本道。
走りだす。
スカートがめくれるのも、髪が乱れるのも気にしない、気にならない。
脚が軽くて、どこまでも走って行けそうな気がした。
むしゃくしゃしてた毎日を思い出して、
閉じこめてた気持ちを大声で叫びながら、
両の手を広げて走っていく。