希望の戸を、


暗闇の中、輝く扉。
その前で僕は立ちすくんでいる。
開けることも、壊すこともできずにいる。
「希望の戸」
誰かが名付けたその名前。
この扉の向こうに何があるのかなんて。
「希望の戸」
誰かが名付けたその名前。
この扉を誰が用意したのかなんて。
何もわからないまま、僕は何もせずにいる。
誰かが用意して、誰かが名付けて、その誰かは、この扉を開けたのだろうか。
この向こうには、いったいなにがあるのだろうか。
そんなことを考えていたはずなのに、気付けば、僕は扉を蹴飛ばしていた。
何もできないくせに、プライドだけは無駄に高い。
誰かの扉なんて、僕は開けたくないんだ。
倒れた扉。
暗闇の中。
僕は行くあてを失った。
暗闇の中、ただひたすら歩くことにした。
その先に何があるのかなんて、少しもわからずにいる。