鈍色ナイフ


明日が来るのがこわくて、いつも逃げてた。
どんなに速く、どんなに遠くへ行っても、逃げ切れないのを知りながら。
気付けば明日に捕まって、いつの間にか今日だった。
そんなふうに繰り返しても、意味がないことわかったんだ。
だから、僕は前へ進む。
こわいことなんて何もない、明日が来るのが待ち遠しい。
そうやって言い聞かせて。
夜が来たら切り裂いて、その隙間から朝へ行こう。
きっといつかは、明日が来ること、楽しみになってるはずだから。
そう信じてる。