焦げたアスファルト


暑い夏の日、家の前のアスファルトの上。
サンダルを投げ飛ばして、二人で裸足になって。
「熱いよ、焦げてる!」
太陽に焼かれて熱く焦げたアスファルト。
きみはその上を勢いよく走りながら、はしゃいで言った。
「こっちは冷たいよ、きもちいい!」
僕もきみの真似をして、はしゃいで言ってみせた。
家の影になったアスファルトは、ひんやりと冷たくて気持ちいい。
「あたしも行くっ、待ってて!」
きみは大きくジャンプして、日陰のアスファルトに跳んできた。
「きもちいいだろ?」
「氷みたい!」
僕はまたきみの真似をして、日向のアスファルトにジャンプする。
「焼けてるな、熱すぎ!」
「でしょ、足の裏も焦げちゃいそうだよね!」
きみは大きな口で笑った。
僕もきみを真似するけど、きみみたいにきれいには笑えない。
「あっ!」
僕は日向と日陰の境目に立った。
冷たくて、熱くて、混ざり合って心地良い。
「きもちぃー?」
「きもちいいよ!」
「あたしも、あたしもっ!」
子供みたいにはしゃいで、僕のもとへ駆けてくる。
「いい感じ?」
「変な感じする!」
また大きくきれいに笑って、僕の頬を軽くつねった。
日向に走って、僕から少し離れると、振り向いて言う。
「かわいーよっ!」
きみのほうがかわいい、
と僕はそう思ったけど、言うのはやめて、日向におおきくジャンプした。
きみの頬を軽くつねって、きみは笑って、僕も笑う。
そんな今が幸せで、ずっとこうしていたいと思う。
焦げたアスファルトの上、かわいいきみと二人きりで。