げんき?


久しぶりに届いた手紙。
ずっと待ってたのに、たったこれだけ?
しろい便せんに青のペンで、雑な字で。
「げんき?」
うん、げんき。
こんな風にしか答えられないよ?
せっかくの手紙だったけど、我慢しきれずに電話をかけた。
トゥルルルルル、トゥルルルルル。
ガチャ……ゴッ…ガガッ……。
「はい、ヤマモトです」
「………」
「もしもし?」
「へへっ、だーれだ?」
「……ユマ?」
「あたり」
「何、なんかあった、手紙送ったんだけど?」
「何ってそれはこっちだよ、何、何なの、あの手紙?」
「あ、届いたんだ」
「げんき?、だけじゃわかんないよ。
 もっと書いてよね、あたしいっぱい書くじゃん、いつも」
「書くことねーもん」
「いやー何それー」
「で?」
「え?」
「で、げんき?」
「うん、げんき」
「それならいい、げんきならそれでじゅーぶん」
「ヨウもげんきなの?」
「げんきだよ」
「あたしがげんきじゃなくなったら、また手紙ちょーだいね」
「おう」
「ヨウがげんきないときは手紙送るね」
「おう」
「なんか言ってよ」
「声聴けてよかった」
「あたしも。ヨウ、元気そうだし」
「また電話するな」
「うん…、じゃーね」
「じゃあな」
久しぶりに届いた手紙は、机の奥にそっとしまった。
元気がなくなったとき、ヨウからの手紙も電話も、
もし来なかったら、
またこの手紙をひらこう。