Colorful


うるさいはず、
でも聞き入ってしまう蝉の声。
パタパタ扇ぐ、あなのあいた団扇。
照りつける太陽。
足をなでていく風。
僕の横には笑う君、
暑いね、なんて言って、スイカを食べる。
ぼーっと空を見上げる僕の横で、
今夜おこなわれる、花火大会の話をしてる。
スイカを食べる君の横で、
僕はスイカバーを食べている。
なんでスイカ食べないの?
って、君はいつも訊いてくる。
おかしな理由だと自分でも思うけど、
食べ終わったときにベタベタするから嫌なんだ。
僕がそう答えるたび、君はバカにしたように笑うよね。
それに、種のチョコレートがおいしいだろう?
種と皮まで食べられるスイカなんて、スイカバーしかないよ。
相変わらず君は笑って、確かにね、って頷くんだ。
スイカバーとスイカ。
空、雲、太陽、花火、団扇、水風船。
それから、君と僕。
夏は色で溢れているよ。